密会/アムロとララァ


富野監督自らが筆をとったガンダムの小説。もともと角川ミニ文庫で出ていたものだが平成12年に角川スニーカー文庫として改めて発刊されている。ガンダムの小説といえば、これ以前にも富野氏の手による3部作があるのだが、映像作品とは主要キャラが同じだけで話の筋はまったくといっていいほど異なっている。対してこの「密会」はほぼ映像作品をなぞる形で話が展開してく。ところで富野氏の小説、というか文章は下手糞である。私の文章も下手糞だがそれでも読んで良い悪いの区別はつく。一例を挙げると「ホワイトベースのクルーにとっては、戦場にむかう途中での思いがけない自由時間だったので、アムロはひさしびりに出た街中で、本屋によろうと思ったのだが、その行くべき本屋からでてきた父親とバッタリ出会うことが出来た。」(P.52)。文章が長い上、主語がなんだかよくわからない(笑)。他にも「それがアムロとあのララァ・スンとの、は、じ、め、だった。」(P.60)とか悶絶したくなるような文章(爆)が散見される。もっとも、ではつまらないかというとそんなことはない。なぜなら先行する映像作品によって既に読者たる我々には世界観なり人物像が出来上がっているからである。筆力の要求されるそこらへんの描写は必要なく、富野氏が得意な感情の起伏だけ書けばいいので文章の上手下手はあまり関係ないのだ。あとは読者自身が不足している部分を映像作品から補うことで楽しむことができる。厚さが極めて薄いわりには非常によくまとまっていると感じられるのはそこらへんが理由であろう。ガンダムを1度も見たことがない人にすればよく分からない話ではあろうが、そういう人はそもそも手にとって読もうともしないのでこれでいいのだ(笑)
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